保健所に提出する主な書類は「開設届」と「X線設置届」です。「開設届」の提出については、「立ち入り検査後に開設届に受理印を押して頂けるか」「立ち入り検査前、つまり窓口提出時に受理印を押して頂けるか」を把握しておくことが重要です。
次のステップである厚生局に提出する「保険医療機関指定申請書」に、「受理印が押された開設届」が必要になります。立ち入り検査後に受理印を押して頂く場合には、スケジュールに間に合うように事前に立ち入り検査の日を打ち合わせておきます。
「開設届」の中身についてのポイントは、「医院図面が要件を満たしているかどうか」です。その為、工事着工前に管轄の保健所に事前相談に行き、図面の確認をして頂くことが大切です。
「開設届」の添付書類についても一度保健所の担当者様に確認して頂くとより安全です。「X線設置届」についてはレントゲンの設置業者様に協力を仰ぎ、書面を作成し、開設届と一緒に提出します。
厚生局に「保険医療機関指定申請書」を提出し、指定を受けることで医院は保険診療ができるようになります。毎月10日~20日に、締め切り日があり、間に合うように提出することで、翌月1日から指定を受けることができます。
締め切り日は厚生局毎に設定がある為、管轄の厚生局に締め切り日を確認しておくことが大切です。添付書類の1つに「開設届の写し」が含まれている関係で、保健所に提出してから厚生局という流れになります。
「施設基準届」については、医院毎に満たしている要件が異なります。院長と卸売業者様、カルテメーカー様等、関係者で確認しあい、期日に間に合うように提出します。
電子カルテに関する届出と診療報酬の入金口座に関する届出を提出します。
診療報酬の入金口座については、金融機関からの借入条件になることもあるので、その条件に抵触することのないように、届出をします。
まず、労災の患者様、生活保護の患者様等を受け入れるか否かを院長が判断します。
労災を受け入れる場合、都道府県労働局長に対して、労災保険指定医療機関の指定申請を提出します。指定医療機関になると、労災希望の患者様から窓口負担を貰うことなく、治療をすることができるようになります。
指定を受けていない場合は、患者様自らが労災の認定を受ける必要が出てきます。生活保護を受け入れる場合、都道府県毎の健康福祉課等に指定申請書を提出します。
従業員を雇用した場合、必ず労災保険に入り、正社員であれば雇用保険に加入することになります。その為の初期手続きとして、労働基準監督署に「労働保険保険関係成立届」と「労働保険概算保険料申告書」を提出します。
また、ハローワークに対して「雇用保険適用事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。
従業員を社会保険に加入させる場合、年金事務所に対して、「新規適用届」「被保険者資格取得届」「健康保険被扶養者(異動)届」を提出します。
税務署には「開業届」「青色申告承認申請書」「青色事業専従者給与に関する届出書」「給与支払事務所等の開設届出書」「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出します。
この手続き書類は顧問税理士に依頼することも可能です。
医療法人化の手続きは、都道府県によって細かい点において違いがあります。
医療法人化の実施をする場合は、必ず都道府県へ手続きについての確認を行います。
この場合、税務的にメリットを出せる可能性がありますので、医療法人化を検討すべきです。医療法人化後の所得シミュレーションを税理士の先生にお願いすると良いかと思います。この際に、医療法人化後のデメリットとして、「院長が社会保険に加入しなければならない事による追加費用」「従業員を社会保険に加入させなければならない事による追加費用」「法人化による税理士先生を初めとした顧問料の増加」も把握する必要がございます。
また、医療法人化することで、税務対策として取り得る手段が増えますので、その点もメリットとして把握しておきます。
分院展開をする上で、医療法人することは原則として必須条件になります。個人で1医院を運営している場合は、開設者が「院長」、管理者も「院長」という届出になりますが、法人化後は、開設者が「医療法人」、管理者が「院長(勤務医に任せる事も可)」という届出になります。
2医院目の届出に関しては、開設者が「医療法人」、管理者が「勤務医分院長(院長が1医院目の管理者になっていなければ就任も可)」という形になります。